AMASC Joigny臨時各国会長会議における選挙を中心にした報告

2011-01-08

AMASC名誉会員 小堀玲子

この度ジュワニーで開催されたAMASC臨時各国会長会議に名誉会員(Emeritus Member)として出席し、次期会長選挙の選挙管理を任されて、委員長を務めました。4月のマルタ大会の折、開会前日に役員会が開かれ、各国会長及び名 誉会員がオブザーバーとして出席を依頼されました。その際、翌日の各国会長会議で選挙ができないという前代未聞の事態が明らかになりました。その打開策と して、堀田JASH会長は、現政権の任期を2010年末までとし、再度の選挙の機会を持つことができる、という知恵を出されました。つまり、そもそも執行 部は選挙見送りという不名誉な事態から、堀田会長に救われた形だったのです。

選挙管理委員は、他にフランスの会長カトリーヌ・セグランと、AMASC会長に同行して日本を訪問したことのあるドイツの会長シルヴィア・ヴォレンシャイム。いずれも親日的な、ものの分かった仲間でした。

私共は事前に、執行部に対し、どの国が出席するのか、どの国が誰に投票権を委任しているか(Proxy)、というリストを依頼していたため、それは 用意されていました。しかし、すでにアメリカから会長候補者が出ていることで、執行部の、選挙さえ終わればこれでお役御免、引き継ぎができる、といった態 度はあからさまなものでした。選挙管理委員長としては、投票権のある各国会長に、会場の前方に円陣を作って座るように言うのが精いっぱい、出席者の名札も 用意されていませんでした。マルタ大会での選挙に関する不明朗さを払しょくするために集まったにもかかわらず、ずさんさが目につきました。

会長選挙の結果は、白票は一票のみで当選が決まりました。こうして新会長に選出されたPamela Snyder(北米アリゾナ出身)は、1986年の東京大会以来、馴染みの顔です。同大会に臨席された当時の皇太子妃のご挨拶を引用した立派な就任のス ピーチを用意して来られ、まじめな、バランスを取ろうとする気持ちのみてとれる人物と感じました。

選挙がすべて終了したときに、名誉会員としてとして私は、以下の2つのことを特に発言いたしました。

1.委任状の安易な受け渡しを、次回から避けるべきであること。多くの場合、委任者と被委任者が個別にメールでやりとりをし、受け取った側が委任状 をプリントアウトして提出していません。今回もたとえば、ドイツ会長が書面で委任状を受け取っていたにも関わらず、「それより後にメールで委任先の変更を 受けている」とイングランド&ウェールズ会長(AMASC書記)が申し立てるという例がありました。今回は筋を通すことより現実的に選挙が出来ることを優 先しましたが、次回からは必ず書面をもって選挙に臨むことを強く要望すると申し立て、了解を得ました。

2.安易に名誉会員を増やすことが危険であること。これは、かねてJASHが懸念を表明してきた現会則の危惧すべ点の一つです。すなわち、会則によ ると、AMASC会員は各国会長と限定されており、それに役員を足しても、その数は50前後とさほど変化のないものである一方で、名誉会員を安易に選出し 続けることは、現役と退任者との間の数のバランスを欠く恐れがあります。特に1986年東京大会の前に、会長の諮問機関として決められたベテラン (Veterans)の制度が、新会則で名誉会員(Emeritus Members)という会議での発言権を有する存在に変わった以上、任命に当たっては慎重に審議すべきです。これを、新執行部となったアメリカチームに宿 題として提出したい、と申しました。

以上が選挙に関するご報告です。

総じて今回の集まりは、選挙が終わるや否や責任をアメリカに渡そうとする執行部に対する失望のなか、堀田公子さんがAMASCを危惧して、2005 年のAMASC会則改正以来忍耐をもって唱え続けて来られた明晰な提言が、ようやく理解され、支持の表明があったことが、明るい材料であるとの思いがしま した。聖心で学んだことを社会に還元することは、各国・各会がそれぞれに実践しています。AMASC全体が一つの社会活動に肩を入れ過ぎれば、それは各国 のおかれた政治的・社会的状況の違いに抵触することになり、政治的な色彩を帯びるのは避けたいという、従来のAMASC姿勢にかかわることになります。こ のJASHの主張が、ようやく理解され始めたのを、これからも見守っていきたいと感じました。

それにつけても堀田会長個人、その率いるJASHへの期待は、想像をはるかに越えたものであることを実感した3日間でした。JASHの4つの提案議 題に対して各国が寄せた意見・反応は、必ずしも期待に添うものではなかったにせよ、2日目の会議の場で4項目のまとめを発表された堀田会長の声に、水を 打ったように静かに耳を傾ける各国代表の態度に、それを感じました。「Kimikoがいるから安心でしょう」と何人の旧知の人に言われたことかを、特筆し たいと思います。

これが、私の体験した、雪のジュワニーでの異例といえる臨時各国会長会議の、選挙を中心にしたご報告であります。