日本語訳「芯の強さと愛 高山右近と聖フィリピン・デュシェーン」

2018-10-29

Fortitude and Love

 

Fortitude and Love: Ukon Takayama and Philippine Duchesne
日本語訳「芯の強さと愛 高山右近と聖フィリピン・デュシェーン」

 

 2017年2月7日、日本のカトリック教会はユスト高山右近(1543-1615)列福の恵みにあずかりました。右近は16世紀日本においてキリシタンの有力な武将の一人でした。困難な時を生きた彼の人生について考えるとき、右近と聖フィリピン・デュシェーンのあいだに、特に祈りに根差した霊性と忍耐強さにおいて相通じるものを見出すことができます。
 福音の力強いメッセージに接して、右近は12歳の時に父ダリオと共に洗礼を受けました。父に従って道に入った右近でしたが、のちにある回心の経験をしています。厳しい選択を迫られたとき、識別を経て、彼はこの世での成功を捨て、信仰を選び取ったのでした。野心と武力闘争の時代にあって、信仰を選んだ右近はすべてを失うことになりました。キリスト教禁教令と迫害が始まると、追放の身となり、20年間にわたり日本各地を転々と流浪する憂き目に遭いました。しかし、彼は人々への奉仕を貫きました。導き教える者としての誠実さと慈しみをもって人々を惹きつけ、彼のまわりには共同体が作られていきました。ついに彼は日本からフィリピンへと国を追われ、マニラに到着してほどなく高熱で世を去りました。
 聖フィリピンの生き方が忍耐強さと謙虚さに特徴づけられるなら、右近は「自らへり降る者」として記憶されます。謙遜な者として生きたキリストに倣い、右近はこの世の栄達ではなく単純さに生きました。右近も聖フィリピンもこの世で何も求めず、しかし、キリストの教えを伝える者として生きる使命を捨てることはありませんでした。この世での失敗において、彼らの愛と芯の強さが輝いています。祈りは彼らの大きな支えでした。
 不安定な今日の世界に生きる私たちは、一人の16世紀の男性と一人の19世紀の女性から、信頼と信仰をもって神を選び取るなかに生じる力を学ぶことができるでしょう。

 

文:大山江理子、RSCJ  日本管区
画:三牧華ず子・セントチャールス聖心学院

 

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