Education: A Frontier 日本語訳「教育:最前線で」
Education: A Frontier
日本語訳「教育:最前線で」
フィリピン・デュシェーンの布教の精神は、枯れることのないインスピレーションの源泉となって、日々最前線で神から委託されたミッションを進める私達を力づけてくれます。今日の世界における教育のミッションは、まさに戦場の最前線にあると言えるでしょう。新自由主義の生活規範から生まれる欲深さを目の当たりにすると、教育の務めは居心地のいい安全地帯にとどまったり、中立の立場に甘んじたりするわけにはいきません。
一教師として私は人間の欲から生じる不正な政策に日々対峙します。近年、韓国の政治状況は私達に多くの苦悩をもたらし、内省を促しました。弾劾により大統領の座を追われた前大統領の朴氏は、私共の卒業生ですから猶更です。政府の腐敗に対して、根本的な問いかけをもって教育への務めを振り返ることが求められます。誰を、どのように、なぜ教育するのか。私たちは学生に対して積極的な市民となるように教育するのか、あるいは受動的な大衆の一部にとどまらせるのか。
ハンナ・アレントは、次のように主張しています。一般の人々が批判することなく命令に従い、大衆の意見に迎合する傾向から悪が生まれる、と。このような思慮のなさが韓国社会の罪であると思います。教育者の責任は重いのです。根本的な社会改造への貢献なくしては、私共の組織は意味がありません。
韓国の不正がはびこる現実を克服できるように、聖心会の会員は自分達の在り方、教え方、組織の在り方を改めるべく努力しています。社会的、政治的な方策に隠された意図や策略に直面する時、分析力や論理的な思考力や鑑識眼を伴った洞察力が必要です。知的な修行が求められているのです。この戦いの場で、フィリピンの声が聞こえます。「行きなさい!勇気と忍耐をもって!」
文:リム・テヨン RSCJ 韓国‐中国人管区
画:韓国でろうそくの光をもってデモに参加する学生たち
撮影者:不明
訳:新井協子