日本語訳 「フィリピン、昨日の女性…今日のための女性」
Philippine, woman of yesterday … woman for today
日本語訳 「フィリピン、昨日の女性…今日のための女性」
ローズ・フィリピン・デュシェーンを、その大胆さと使命に対する献身、周辺部へと自らを駆り立てる思いと観想的な側面を持つ一人の人間として考える時、私の頭にはすぐにも今私たちを取り巻く世の中の状況が浮かびます。そこには、昨日の女性でありながら今日の世界が最も必要としている、深く明晰で、しっかりとした理解を持って語る女性がいます。
確固たる希望を持つフィリピンは、騒然とした難しい時代に、主を目指して忠実に一歩ずつ歩むことができました。展開する未来に対して、希望、信頼、そして忠誠心を持っていたのです。
今私たちの世界が必要としているのは、忍耐強く一歩一歩進むこの姿勢です。一刻も早く結果を求め、消費主義に要求をあおられ、うわべのみを競う世の中で、私たちもまた気付かないうちに自らの本質を、奥底に眠る個性を、私たちの自由を失いかけているのかもしれません。静けさや出会いを求める時間もありません。何かをする暇はあっても、そこに留まる時間がないのです。
フィリピンは、どのようにあるべきかを知っており、どこにいても周りにキリストの聖心の愛を明らかにしました。他者のために自らを捧げることに長けていた彼女は、自分自身を押しのけることによって、神の御国の貧しい人たちにイエスをもたらしました。
歴史の中のこの瞬間、分断の障壁は増え続け、以前にも増して多くの弾圧、暴力、不平等、不正義が溢れています。母なる大地も、私たちの兄弟姉妹と共に苦しみの声を上げています。計算しつくされた、危険を犯しての冒険と、そのための惜しみない献身、そして周辺部への目配りが必要なのは今です。そこに今日のポタワトミたちを見つけることができるでしょう。イエスが私たちを待っておられるのも、そこに他なりません。そして彼らもまた私たちをそこで待っているでしょう。
今日、私たちに多くを語りかける昨日の女性フィリピンは、一番重要なのは神に対する忠誠心と言っています。私たちを最も壊れやすい者へと導くのも、障害や無理解を乗り越えることを可能にするのも、忠誠心です。この忠誠心こそが、フィリピンが愛したように愛し、その愛ゆえにイエスの聖心への一致と服従のうちに生きる力を、私たちに与えるのです。
このように生きる時に人は全てを超越することができ、私たちも全く異なったかたちのコミュニケーションを、フィリピンと同じようにとることができるでしょう。
作 :イサベル・ロチャ、RSCJ アルゼンチン-ウルグアイ管区
画像:作者不明
訳 :中山洋子